前件否定の誤謬
前件否定の誤謬とは何か
母が窓の外の地面を見て、「雨が降ったら、路面は濡れるわね」と言う。それは正しい。しかし、その逆を考えてみよう。「雨が降らなければ、路面は乾いているはずだ」と言ったら、間違いではないだろうか。散水車が通ったばかりかもしれないし、隣人が庭の掃除をしたかもしれない。水道管が破裂したかもしれない。路面は濡れている。あの「雨が降ったら、路面は濡れる」という文は、雨が降ったときに濡れることを保証しているだけで、雨が降らないときにどうなるかについては、何も語っていない。「雨が降らない」から「濡れない」を導くのは、飛躍が大きすぎる。これを前件否定の誤謬と呼ぶ。
前件否定の誤謬のよくある間違いと方法
食卓で、部長がこう断言した。「今回は広告を打たなかったから、売上は上がらないだろう。」ところが、古い顧客がリピートして、売上は持ち直した。同僚がため息混じりに言う。「彼は名門大学出身ではないから、この仕事はこなせないだろう。」しかし、彼は三つのプロジェクトに携わり、誰よりも現場を知っている。家庭でも同じことがある。夫は「俺は怒ってなんかいないのに、なぜ彼女が不機嫌になるんだ」と思うが、彼女は別のことで悩んでいる。これらの判断は、どれも同じ誤りを犯している。ある条件が起きなかったからといって、結果も起きないと決めつけている。だが、結果へ至る道は、いつも一つだけとは限らない。
前件否定の誤謬の練習問題の出題内容
与えられた推論が、条件を否定しただけで他の可能性を検討していないかどうかを見抜けるか。「もし〜ならば、〜である」という文が何を保証し、何を保証していないかを区別できるか。条件が起こらなかった場合に、結果も起こらないと推論してよいかを判断できるか。問題文では、日常の会話や仕事の報告の中の主張を示し、その推論の欠陥を指摘させる。